家のバリアフリー化について

最近テレビのニュースでも日本の超高齢化が進んでいるという内容取り上げられていますが、そんな日本でこれからの家屋に求められてくるのがバリアフリー化です。
 バリアフリーというのは、小さなお子さん、高齢者や身心機能に障がいがある人でも安心して自由に生活できるよう、バリア(障壁)となるものをなくすことです。お住まいをバリアフリー化することで、高齢者や障がいがある方だけでなく、多くの人が暮らしやすい家になります。

バリアフリー先進国

 バリアフリー先進国といわれている国は、アメリカ、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランドです。アメリカでは、障害を持つ人が米国社会に完全に参加できることを保証するために、1990年7月にADA(アメリカ障害者法)が制定されました。バスや電車などの公共の交通機関は障害者が容易に利用できるようにバリアフリー化が義務づけられています。
 そんな欧米に比べると、日本のバリアフリー化は遅れていると言わざるをえませんが、国土交通省から『高齢者が居住する住宅の設計に係る指針』も定められています。

(1)部屋の配置
(2)段差
(3)手すり
(4)通路及び出入口の幅員
(5)階段
(6)各部屋の広さ等
(7)床及び壁の仕上げ
(8)建具等
(9)設備
(10)温熱環境
(11)収納スペース
(12)その他についての基本的な配慮事項が細かく示されています。

世界で見ると遅れている日本

世界全体でみるとバリアフリー化が遅れている日本でも、公共施設や公共交通機関では、比較的早くから多くのバリアフリー化が進んで来ましたが、個人のお宅では少し前まではあまりバリアフリー化が進んでいませんでした。
それでも、最近になって高齢な家族のため、将来の自分が暮らしやすくする事を考えてといった理由で、当社でも多くのご依頼を頂き、玄関・階段・トイレ・お風呂等への手すりの取り付けや、車いすを利用する場合の動線を考えて廊下の幅を広げたり、トイレを広くしたりと、個人のお住まいでもバリアフリー化のお手伝いをさせていただいています。

 例えば、ヒートショックの危険を少なくするために、家の中の温度管理をすることも立派なバリアフリー対策です。
 ヒートショックを起こしやすいのは、特に冬場の冷え込んだトイレ・洗面室・お風呂など、極端な温度差がある場所です。そのため入浴前には脱衣所とお風呂の温度差を無くすため、脱衣所を温めておき、お風呂も湯船のフタを開けたり、シャワーを出したり、暖房がある場合は事前に点けておく事が有効です。トイレの場合、人感センサー付きの電気温風器やヒーター一体型の天井照明など、場所を取らない暖房器具も販売されていますので検討されてみてはどうでしょうか。

比較的簡単にできるバリアフリーリフォーム

 そんなバリアフリー化についてですが、今回は比較的簡単にできるバリアフリーリフォームとして、手すりの取り付け、段差の解消について書いていこうと思います。

 20年近く前に建てた建売住宅では、最初から階段やお風呂に手すりが付いている場合もありますが、それ以前に建てられた家屋には手すりが付いてない場合も多いので、高齢な方がお住まいの場合には比較的金額も安く、工事も早く済む手すりの取り付けはバリアフリー化の第一歩でお勧めです。
 階段に手すりがあれば、ひざの痛みを抱えている方も痛みを軽減出来ますし、転倒の危険がある高齢者の方も安全に快適に過ごせる環境を手に入れられます。
 また、玄関の上がり框やトイレ、お風呂といった立ち座りする場所に手すりを付けることも、今の暮らしを便利に、快適にするために非常に有効です。
 手すりを取り付ける高さや、手すりの長さ、手すりの太さも重要ですので、当社では、お客様が納得いくまで相談に乗らせていただきます。

 次にお住いの中で転倒の危険を少なくするために必要なのが、動線にある段差を小さくすることです。足が不自由になってくると、ちょっとした段差でつまずいてしまいますし、車いすを使用する場合には敷居が邪魔になります。
 通常、部屋と廊下の境目には、プライバシーを確保する目的や、冷暖房効率をよくする目的で、ドアや引き戸があります。ドアの下には気密性を上げて音漏れしないように沓摺(くつずり)と呼ばれる見切り材を使用しますし、引き戸の場合には敷居が必要になります。
 一昔前のお家では、バリアフリーを考えた設計になっていないので、高さ2~3cm程度の沓摺や敷居が使用されていましたので、足の不自由な方には大きな障害物になります。
 現在では多くのメーカーからバリアフリーの見切り材が出ています。リフォームとしては簡易的な工事ですし、引き戸の場合は、敷居の必要がない吊戸へ変更する事により段差を無くせます。
 これらの改修工事は、比較的安価に段差を無くすことが出来ますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
 また要介護者がおられるお宅の場合、要件を満たしていれば、介護保険を利用して手すりの取付けや段差の解消、洋式便器等への便器の取替え、引き戸等への扉の取り替えといった住宅改修工事が出来るものがありますので、一度ネットで調べてみるか、お住いの市役所(区役所)等に問合せてみると良いと思います。

まとめ

 最後に、住宅リフォームには直接関係ありませんが、これからもっと公共施設や公共交通機関のバリアフリー化が進み、車いすが乗せられるタクシー等が普及し、段差を解消するスロープが増え、小さなお子さん、高齢者や身心機能に障がいがある人でも安心して暮らしやすい日本になることを希望します。