介護を見据えたリフォームについて

昨年の3月に家のバリアフリー化についてのコラムを書きましたが、今回は介護を見据えた手摺の取付けリフォームについて書きたいと思います。
現在、凄いスピードで少子高齢化が進んでいる日本ですが、政府は異次元の少子化対策と言いながら的外れな政策ばかりを打ち出し、若い世代の人達が経済的に豊かになれず、将来に希望が持てない、結婚しても家族を幸せに出来る自信がない、自分たちが生きるのが精一杯で子供を育てる余裕が無い、挙句の果てには少ない収入から沢山税金が引かれ手元に残る賃金が少なすぎる為、今の日本では働いたら負け的な事が言われているという話も耳にします。これから先も高齢化が加速し、老老介護、あるいは老老看護といった65歳以上の人が高齢者を介護する世界が当たり前になってくると思います。(本当はそうならないことを願っていますが。)
20数年前に購入した我が家(いわゆる建売住宅)には、購入した時点で最初から階段とお風呂内に手摺が付いていましたが、私や妻が介護の必要な高齢者になった場合、これから様々なリフォームが必要になると思います。そこでコラムを書いている私も、あと2年経てば還暦を迎えますし、もしも20年後に生きていれば介護が必要な状態になっていると思いますので、自分の為にも手摺の取り付けについて勉強してみました。

 

1. 手摺の必要性について


手摺は足腰が弱ってきた高齢者の人にとって体を支えるためにとても重要な役割を果たします。
特に階段では効果を発揮し、手摺を持つことによって体が安定しますし、下半身だけに頼っていた力が上半身にも分散され足への負担が軽減します。
もしも階段でバランスを崩して転倒した場合には骨折の危険もありますし、高齢者の骨折は治癒までに時間がかかり、身体機能が落ちてしまいますので階段の上り下りには注意が必要です。
手摺の取り付け方法には様々な方法がありますが、持ち家の場合、設置スペースの事や安全性を考えると、壁に直接設置する方法が望ましいと思います。(設置したい場所の壁の裏に、手摺の固定が効く柱(間柱)が無いでもベースプレートを取り付ける事によって手摺の取付けが可能になりますのでお気軽にご相談ください。)

 2.効果的な手摺の取付け場所

手摺の設置場所ですが、基本的に立つ、座る、しゃがむ、移動する場所に必要なので、最低でも玄関・廊下・トイレ・浴室・階段には付けるべきです。
(1) 玄 関:靴の脱ぎ履き時にあると安心ですし、框を上がる時のサポートに使います。
(2) 廊 下:ちょっとした移動の際にも、最適な高さに握りやすい手摺があれば足腰に不安がある人も安心して歩けます。
(3) トイレ:便座の立ち座りの時に使います。縦長のトイレの場合、L字型の手摺がお勧めです。
(4) 浴 室:浴槽の立ち座りの際に使います。浴室の床は滑りやすい為、浴槽の出入りを考えるとトイレと同様でL字型の手摺がお勧めです。

(5) 階 段:階段の上り下りに役立ちます。角度が急な階段の場合、理想を言えば階段の両側に手摺を付けることが望ましいですが、片側にしか付けない場合は階段を下りる際に利き腕側に付けるのが一般的です。

 3.手摺を設置する高さと太さ


廊下等に設置する水平型の手摺の床からの高さは一般的に75~85cmと言われていますが、実際は利用する人の身長に合わせ、利用者の持ちやすい高さにするのが理想的です。
手摺の取付けを当社にご依頼いただければ、お客様と打ち合わせを行い、それぞれの場所に合った最適な高さと素材を現地でご提案させていただきます。

また、手摺の太さもお選びいただけますので、握りやすいサイズをお聞かせください。

まとめ


私の実家も建ってから30年近くなり、実家の母が80歳を超えて数年が経ち、足腰が弱くなったこともあり、お正月に帰省した際には、実家で母の面倒を見てくれている兄が、廊下とトイレに手摺を取り付けてくれていました。工務店で働いている私としては突っ込みどころがありましたが、母の事を思って手摺を取り付けてくれた兄には感謝だけを伝えました。
DIYで手摺を取り付けることは出来ますが、安全性や快適さを求める場合はプロに依頼するのが一番です。
介護に関する各種リフォーム工事をお考えの方は、各市区町村で利用可能な介護保険サービス(上限や条件の規定があります。)にも詳しい福祉住環境コーディネーター2級も在籍する「住まいのホームドクター」株式会社グローoneのホームページからお問い合わせください。